pulptexの日記

未来の自分への伝言

JSTQB Advanced Level Test Manager受験記

2021年8月21日に「第11回JSTQB認定テスト技術者資格 Advanced Level(TM)試験」を受験し、無事合格することができました。 立てた誓いの通り、事の経緯を書き残しておこうと思います。

スペック

  • テスト歴

    • 約8年?(システム開発の一部だったり本業だったり顧客サポートの一環だったり形態いろいろ)
    • UT/ITのテストケースレビューとか
    • システムテストの計画/設計/実装/実施/クロージングとか
    • ドメインは自動車
  • 資格

    • JSTQB CTFL:2019年夏に合格
    • JSTQB CTFL-Aut:2021年春に合格

受験の動機

FLの受験勉強をしていた時、断片的な知識と経験を体系化してくれている感があってすごく気持ちが良かったんです。なのでいつかはALも受けてみたいと思い続けていて、時間と心に余裕が出来たので一念発起して受けてみようとなりました。2月に自動車ソフトウェアテスト担当者の試験も受けていて、そこで弾みがついた感もあります。

勉強の流れ

勉強法のリサーチ(5/F)

ALはFLと違って公式参考書が無いため、問題を解きながら理解を深めるタイプの勉強方法が好き(というかそれしか知らない)自分にとってどのように勉強を進めたらいいかわからない。。。からスタートしました。これまでもふとした時に調べたりしていたのですが「ふーん」って思う程度だったので、改めていろんな方の体験談を漁りました。

その中でしーちきさんのブログ(私は迷いの中にいる)に出会えました。TM/TA両方合格している人が日々の勉強を克明に記している、、、これはやり方を真似させてもらおう!と思ってほぼ全部目を通しました。その中で勉強法としてシラバスまとめを紹介されていたので、他にどうやればいいかもわからなかったので愚直にやることに決めました(ついでにTwitterでフォローさせてもらいました)。

シラバス精読2周(5/F~6/M)

とにかく言われたことを愚直にこなそう!から、シラバスをプレーンテキストに直す、項目が列挙されている個所をひたすら箇条書きに直す、をしていきました。シラバス読んでいるととにかく目が滑りまくるのですが、テキストを整形して箇条書きに直して、、、を進めていくうちに、何となく文章も読めている感じがしました。

プレーンテキストに出来たら、次のステップは「元の文章はなるべく残した上でコメントを入れる」スタイルにしました。なるべく自分の理解でまとめなおして~みたいな解説も見たことがあるような気がしましたが、意訳しすぎたことによって間違った理解で納得してしまうのが怖かったのです、、、ただ、コメントは大したことないものばかりです。「あの時のあれはこういうことだったんだな」とか「〇〇という理由でこれが必要なのか」とか。ひどいものだと「納得!」とか、「当時もそう思ってたな」とか(ただの感想)。でも2週目3週目を読む時に1週目の自分がその文章を読んで何を思ったのかを振り返るのは、知識と思考の整理の観点では非常に役に立ちました。間違った理解をしていたり読み込みが浅かったりした部分が見えてきたし、自分の血肉になっている部分を実感できたりしたと思います。

2週目でだいぶ読めた感が出てきたと同時に、ちょいちょい出てくる「FLで示したように~」が気になり始めました。FLの勉強および受験をしたのは2年前で、細かい部分はほとんど頭に残ってないので。。。2週目の中盤くらいから、ぼんやり次はFLかな~と思い始めていました。

FL斜め読み1周(6/M)

2周読み終わって理解が進んだ気もするしそうでもない気もするし、、、他にやることも思いつかないので善は急げ?急がば回れ?でFLシラバスを読むことにしました。ただ、FLはあくまで参考 / あんまり時間をかけたくないという思いからテキストに直したりはせずPDFそのままで読み進めました。ここはちょっと失敗したかもしれないと思っていて、PDFのままだと本当に目が良く滑る。2行くらいサラ~と行って「あれ?今なにが書いてあったっけ???」となることが多く、斜め読みでいいやと思っていたのにただ字を追いかけただけだったかもしれません、、、まぁキーワードが一瞬でも頭に入って(そして出ていった)だけでもどこかで役に立ったらいいな?くらいの気持ちで終わらせました。

PRISMAメソッドのHTML版(https://qiita.com/freddiefujiwara/items/44882bb35e000d9cb546)

FL斜め読みが終わって次に何をすればいいかちょっとわからなくなりました。自分に何が不足しているのか?がよくわからないからです。そんなことをTwitterに呟いたら例によってアドバイスを貰います。

Webで読めるのもありがたかったです。一気に読了してしまったためあまり残らなかったかもしれませんが、また別の視点を得た気持ちになりました。こうやっていろんな文献を読むことが新たな視点を得るために必要なことなんだな、ということを実感しました。

また、こんな感じでこの頃すでにちょこちょこアドバイスを頂いていて、路頭に迷いそうに(勉強放棄しそうに)なりかけのところで踏みとどまらせてもらってました。リアルワールドでもこういうサポートはなかなかもらったことが無かったので結構感激してました。一緒に勉強してくれる人/勉強サポートしてくれる人はめっちゃ大事。

問題演習ISTQB(6/M~7/F)

読み終わっちゃいました~チラッって書いたらまたアドバイスを貰いました。演習問題があるぞと。この辺でいっちょやってみっかとなりISTQBの演習問題を解きました。一応、すべての選択肢に何故それが間違いなのかの説明まで書いてあるので(これも間違いではないんだけど~みたいな曖昧なこともたまに書いてあったりしますが)、回答する時に自分がなぜそれを選んだのか、他の選択肢は何故選ばなかったのかをメモ書きしておいたので、回答と突き合わせて自分が何を理解できていて何がおぼろげにしかわかってない、もしくは間違った理解をしているかを分析することができました。何となく感じていた通り正答率がPart5からグッと下がるので、この結果を踏まえてシラバスをもう1回読もう!と心が奮い立ちます。

シラバス精読3周目(7/M)

シラバス読もう!で、頭から読み始めて「あれ、これは分析結果が活かされてないのでは、、、」と思い直しPart1読んだ後にPart2~4を飛ばしてPart5へ。目の滑りを感じたら何度でも戻って精読しました。特に5章は手法の概要説明で文字追ってても何もイメージ湧いてこないので、引用元のWebページを見たり資料を見たり概念図をテキストに埋め込んだりとテキスト化したシラバスの情報拡充に努めました。また

とかもTwitterで紹介してもらったり、理解を深めるために情報を取る幅を広げた感じです。シラバス精読自体はだいぶダレていて、このページはメモが少ないな、と思ったところに無理やり付け加えるくらいしかできてませんでした。

CTP本(7/M~8/F)

ソフトウェアテスト12の必勝プロセス-テストの計画・準備・実行・改善を究めるために | Rex Black, テスト技術者交流会, トップスタジオ |本 | 通販 | Amazon

プロセス改善技法の中でCTPだけは引用元が本になっていて、うーん、これ読む?でもお高いし?試験対策としては効率が悪いとも言われているし?と二の足を踏んでいたところ、居住地の図書館で借りられることがわかりました。シラバス精読は本当に限界だと思っていたので渡りに船だ!とばかりに借りて読むことにしました(ちなみに著者の方のページに行けばWebでもたくさん読めますhttps://rbcs-us.com/resources/articles/)。

本の内容としては架空プロジェクトの架空テストマネージャがプロジェクトをどうやって進めるか(計画から振り返りまで)の物語風になっていて、12のプロセスを順番に追っていくものです。普通に読み物として面白かったのですが、如何せん本のサイズとページ数が、、、途中から読むこと自体に疲れてきてしまって、最後の方は意図的に目を滑らせて読了したことにしました。。

問題演習ASTQB(7/M~8/F)

演習問題はASTQB(アメリカのISTQB組織)にもあることを教えてもらっていたので、(本番が近づくにつれ自分の勉強がどんどん迷走していることを感じつつ)こちらにトライしました。ISTQBの演習問題と違って問題文は短いので時間はかからなかったですが、解答に解説が無いので「なんでこの選択肢?」と疑問に思う問題があったような無かったような。シラバス3周もしたしシラバス以外の情報にもたくさん触れたし結構良い点取れてるんじゃない?と思ったら正答率65%。ISTQBの公式が「65%以上で合格」と言っているので、まさにギリギリのスコアでした。しかも結局Part5,6の得点率は低いままだしPart4(欠陥マネジメント)の点まで低くなるしで焦りと不安が出てきました。

しかたなく(?)もう一度シラバスに戻り、Part4~6を一読し、メモを追加。いや、これで点が取れなかったんだよな?と思い次の一手がいよいよわからなく。。。

受験票が届く(8/F)

どうやって勉強を仕上げていいかわからなくなっていた時に、ちょうど受験票が届きました。現実を見つめなおし、アドバイスを乞いました。

業界標準/改善プロセスまとめ(8/F)

業界標準をまとめ、改善プロセスのメモに更に肉付けをしました。

ISTQB模擬問題解きなおし(8/M)

いよいよ本番が近づいてきて、とにかく仕上げた感を出したかったのでISTQBの問題を解きなおしました。そしてなぜかPart1,2の得点率が下がる、、、確かにPart5~6とかばっかり読んだり情報足したりしていてあんまり意識してなかったのは事実なのですが。。。仕上げた感を出したかっただけなのに焦りと不安が更に深まることに。。。

非公式問題集(8/M)

問題を解いて理解してる実感を得たい、、、ただそれだけなのに。。。と思っていた矢先、「非公式問題集で仕上げだ!」的なツイートを見ました。これだ!と思って購入させていただいたのが試験2日前という。。。非公式だから非公式という名前なだけとは思っていますが、内容はすごく充実していて初めからこれやっときゃ良かったーとちょっぴり後悔。そして前日までにPart4までしか終わりませんでした。。。

そして本番へ(8/21)

会場へ行きがてら非公式問題集の残りに目を通しました。勉強やり切った感は無いけどやり残して悔いが残る感も無い不思議な感覚でした。。

使用した教材

使った教材について所感を述べてみます。

シラバス

これの理解度が問われる試験なので、教材として抜くことは出来ないと思います。が、読んだだけでは何も頭に残らない不思議な文章なので(?)何らか工夫は必要だと思いました。

ISTQB/ASTQB演習問題

各Partが網羅されているので全体的な理解度を測るのに役立ちました。↑にも書きましたがISTQBの方は選択肢の解説(なぜ正解/不正解なのか)も載っているので、分析のし甲斐があると思いました。他に問題演習無いからと思ってとっておいたのは失敗だったかも?もっと早く手を付ければよかった。

非公式問題集

もっと早く入手すれば良かった、、、一部暗記問題?のような部分もありますが日本語で詳しく書かれた問題および解答解説は貴重です。

紹介してもらったスライド等

すごく良かったです。けど、目的に沿ったものを紹介してもらえたから良かったんだと思っています。自分で探しに行くと深みに嵌る気がします。

CTP本

確かに試験勉強としては適さないかもしれませんが、改善プロセスの解説というよりテストプロジェクトのライフサイクルを総なめしているような読み物なので、テストマネージャもしくはそれに準ずるロールの人が読むと得るものは大きいと思います。

ブログ

ブログ巡回になっちゃうと時間がもったいない気はします。しーちきさんありがとうございました。  

成功したこと/失敗したこと/成功?失敗?/どうしたらいいかわからん

今回の試験勉強に対する考察です。

[成功] シラバス精読は周回ごとに違うことやって目を滑らせなかった

冒頭の方にも書きましたが試験勉強=問題演習メインでしかやったことなかったのでこういう勉強の仕方は初めてでしたが、うまくやれたんじゃないかと思っています。同じことを繰り返してやるのには適さない勉強方法だと思うので、どういう変化をつけるか?を意識することが必要かと。

[失敗]やっぱり途中でダレた

テストの勉強楽しい!継続して勉強できてる自分すごい!と思っていましたが結局最後はダレました。仕事と同じで行き当たりばったりでやる勉強は長続きしないことを痛感しました。。

[要改善] 問題演習の分析はもっとできた

集中力の問題で解くことで結構いっぱいいっぱいなってしまい、あんまり各問題を深堀できなかったな、と思っています。「なぜこの選択肢を選んだか」だけでなく「なぜその選択肢は選ばなかったか」までメモしておいたので考え方の方向性が合ってるかどうかも分析できる状態にはありましたが、さらに発展させて自分がどういう観点で曲解するのかとかどういうところを素直に理解できているのかとかも分析すればその後の勉強方針ももっと具体化できたのではないか、と。

[成功] 他の勉強に手を出す

同時期に他の勉強もしていました(情報セキュリティマネジメント試験、データベーススペシャリスト試験、Vim、ドイツ語、etc...)。全然違う勉強をして脳をリフレッシュすることで集中力を高めることが狙いです。嘘です。飽きっぽく移り気なだけです。。。でも結果的にモチベーション維持に一役買っているとは感じています。どれかが行き詰まるとどれかがうまくいったりの繰り返し。

[悩み]どこまで暗記する?

シラバスだけでも結構な情報量で、ほぼ暗記ゲームみたいな部分もあると思っています。基本的に暗記は得意なのですが好きではないので、そういう部分をどこまで暗記するか一瞬悩みました。で、結局「プロセス改善はシラバスの内容的に中身に踏み込んでないからほぼ暗記。他は捨て」にしました。結果合格したので戦略的にはこれで良かったのかもしれません。  

業務経歴書について

Advanced Levelは業務経歴書の提出が必要で、これがネックになっている人が結構多いみたいですね。私は現時点で転職回数3回なので(ジョブホッパーなんだろうか、、、)、あんまり気にせずサラサラ書いて提出しました。連絡先の記載欄もありますがほとんどは「転職したため連絡先わかりません」で、現職だけは上長に「こういう試験受けるんで名前借ります」とだけ伝えました。結果試験を受けることはできたので、中身の良し悪しとか関係なく書いて出したらいいと思います。  

当日のこと

  • 試験開始は10時、試験会場は家からドア to ドアで1時間半なので、いつもより少し早起きしました。本当は1週間前くらいから朝型に切り替えていこう!と思っていたのですが全然無理でした。こういうのは急に始めるんじゃなくて日々生活を整えていかないとだめですね。

  • 東京の会場はFLの時と同じTOC有明でした。FL受験時は国際展示場駅からパナソニックセンター東京を突っ切って行けたんですが2020年12月に閉館してたようで、グルっと遠回り。

  • 会場について「結構人が多いな」とツイートしようとしたところで、携帯の電波が入らないことに気づきました。まとめたシラバスとか全部OneDriveに上げていたので、試験直前のおさらいが何も出来ず仕舞い、、、これは盲点でした。楽天モバイル

  • 空席率は本当に低くて、IPA試験とかと比べると段違いでした。受験料が高いから?前回がコロナで中止だったから?

  • 3時間の試験は本当に大変でした。試験開始と同時にぐっと集中力が高まったことは感じたのですが、半分終わった時点(1時間半経過後)で完全に集中力が切れました。こんな試験受けないとなかなか体験できないことではありますが、TOEIC試験とかでよくやる「本番さながら、時間を測って問題演習」みたいなことも出来ないと思うので、集中力が切れたとわかった段階で瞑想でもなんでもして切り替えをすればよかったかな、と思います。1分くらい目を閉じてても時間はたくさんあるので。

  • 会場が寒いから防寒対策を!とアドバイスをいただいていたことを試験中にぼんやり思い出しました。結果、寒くはなかったです。自分が暑がりなだけかもしれません(半袖半ズボン)。

  • 長文読解はIPA高度試験の午後問題のノリで、線引いたりキーワードを〇で囲んだり登場人物の関係を図示したりして理解漏れを防ぎました。問題冊子に余白が結構あるのでたくさん書けます。持ち帰ることは出来ないので振り返りはあんまりできないですが、問題の読み解き方としては良い方法だと思っています(書き込み禁止じゃないですよね・・・?)  

    もし再び試験を受けるなら何を改善する?

    一番に、計画立案かなと思います。勉強やった感が無かったり特定のエリアを仕留めた感が無かったり勉強の迷走感が出たり、、、結果としてやり切った感は無く受験してしまったのはちょっと残念だったかも、と思います。 次点として、何が足りないかもっと早めに把握できる仕組みを作るべきでした。具体的に言うと問題演習をもっと早くやっておけば良かった。問題自体があんまりないから勉強しあがった後の確認として取っておこう、みたいなことを考えたのがダメでした。解く。わかってないことを見えるようにする。  

    その他気づき

    図書館すげえ

    CTP本かりたあと、気になるテスト関連書籍を検索したらほぼ全部ありました、、、居住地の自治体はネットでも予約できます。もっと早く活用すればよかった。これから活用します。

    SNSすげえ(ありがてえ)

    励ましてもらったりアドバイス貰ったり。ネットに繋がってて良かったと初めて思いました。この記事も誰かの勉強をちょっとでも助けられればと思って書いています。   

    試験が何にどう役に立ったか

  • FLの時と同様に、バラバラになってた知識と経験が体系化されたと感じています。何かスキルが身についたかというとそうではない気がします。
  • 自身の仕事を振り返る材料を獲得できたと感じています。これはやって良かった、これはやらない方が良かった、そういうことを考える時の引き出しが増えた気がします。

試験の受験資格に実務経験3年というのがありますが、確かに必要な条件だと思います。実務経験無しで受験して仮に合格したとしても、テストのことをわかった気になってしまうだけな気がします。